scarsを失恋ソングと解釈した妄想
scarsという曲は不倫ソングである、というのが通説のようである。看過できない事態であるが、考えれば考えるほどにどっぷりと不倫なのである。ただし、その関係はすでに解消されたように思う。彼目線で描きたい。では妄想スタート。
いつもの店に着くと、彼女が先に待っていた。隣に腰掛けると、彼女は優しく微笑んだ。
男「ごめん、遅なってもうて。」
女「わたしもさっき来たところ。」
軽く食事をする。たわいもない会話をする。ふと時計に目をやる彼女。今夜はあとどれくらい一緒にいられるのだろうか。今日という一日が終わるその瞬間をともに過ごせるのだろうか。
店を出て二人きりになれる場所へと入る。幸せな時間のはずなのに、いつか終わりが来るのだろうかと臆病になる。
男「なぁ…好きやで。会えへん間、めっちゃ寂しかった。」
お互い自由に会えない孤独な気持ちを共有したくて、思わず素直な言葉が出る。
女「わたしも。」
そう呟いた彼女は、言葉とは裏腹にどこか悲しげな表情をしていた。見つめる目は、脳裏に焼き付けるために、まるで瞬きさえ惜しんでいるかのようだった。
彼女を愛するほど、自分を咎める気持ちもあるが、それと同様にいやそれ以上の恋心は膨らんでいく。そんな戸惑いを打ち消すために強く抱きしめる。決して消えることのないように、彼女の顔も声も感触も香りも、全て本能に刻み込んでいく。
その日以降、彼女と会うことはなかった。別れの言葉も残さず去っていった。いつか彼女に伝えたことがあった。
「望んでくれさえすれば、本気で奪いに行く。誰かを傷つけることになっても構わへん。周りになにか言われようと全部かばったるから。」
ずっと愛し合うはずなのに、願いは届かなかった。
あれからどれくらいの月日が経ったのだろう。彼女のことを忘れるつもりはない。永遠に愛し続けることは哀しい運命なのだとしてもそれでもいい。行き場のないこの思いは積もり続けるばかりで、思えば思うほどに切なくなる。このさきたどり着くのは幻だとしても、膨らんでいく思いがまやかしだとしても、あのとき愛し合った二人は間違いなく真実だった。
いつまでも傷痕が癒えることなはい。
以上。極めて暗い気分になりますね。後半は嫌になってきたのでやっつけ仕事です。この彼の傷が癒えるのを願うべきなのか、それとも彼女が戻って来ることを願うべきなのか…倫理観が崩壊しそうだ。やっぱり明るい曲がいいな。